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第4号 インフルエンザにご注意(2018年度版)

今年の冬は例年よりも寒さが厳しく、寒くなると体調を崩して風邪をひきやすくなります。そして、風邪と共に流行しやすいのがインフルエンザです。インフルエンザはウィルスが原因で引き起こる感染症で、今年はすでに猛威をふるっております。今回はインフエンザについて詳しく見ていきましょう。

速報!! 新たなインフルエンザ治療薬「ゾフルーザ」が本年3月14日に発売されました。

2-2-5参照

1.インフルエンザについて

インフルエンザは例年、12~3月にかけて流行します。インフルエンザの特徴について様々な視点から、見ていくことにしましょう。

 

1-1.インフルエンザの感染ルート
インフルエンザは主に飛沫感染、接触感染により感染します。飛沫感染とは、インフルエンザ感染者がする咳やくしゃみから出る唾液などによっておこる感染です。唾液にはインフルエンザウィルスが含まれており、くしゃみや咳によって約1~2m飛散します。その上、空気が乾燥していると、ウィルスはフワフワと長い間浮遊を続けるため、冬場では感染の可能性が特に広がってしまいます。
接触感染は、感染者が触ったものを介して、起こる感染です。感染者が咳をした際につい手で口をふさいでしまうと、その手にはインフルエンザウィルスが付着しています。この手で触れたドアノブやつり革、階段の手すりなどにふれると、その手にはウィルスが付着してしまいます。その手で食べ物を食べたり、鼻をこすったり、くしゃみの際に手でふさいだ拍子に、口や鼻の粘膜から感染してしまいます。このようにして、インフルエンザの感染は拡大します。

 

1-2.インフルエンザの種類と特徴
インフルエンザには、A型・B型・C型があり、寒い時期に流行するのは主にA型とB型です。ここでは、A型とB型のそれぞれの特徴について、簡単に示したいと思います。
☆A型の特徴
・高熱・関節痛・倦怠感・のどの痛みなど強い症状が現れます。
・大流行に発展することがあります。
☆B型の特徴
・主な症状は高熱・関節痛などですが、A型よりは少し軽い傾向があります。
・下痢や腹痛、嘔吐などの消化器症状が現れることもあります。

例年の全体的な傾向として、A型の流行が先に現れ、その後B型が流行し、それから徐々に収束に向かいます。しかし、今年は早い時期からA型もB型も混在して流行しています。そのため、爆発的な流行が起きているとも考えられます。また、今年のインフルエンザの特徴として、熱症状は微熱で諸症状も比較的軽めなのに、実はインフルエンザだったという『かくれインフルエンザ』が多く見られます

 

1-3.インフルエンザにかかってしまったら
インフルエンザにかかった場合、体をしっかりと休めるためにも、感染の拡大を防ぐためにも、自宅でしっかりと静養することが大切です。インフルエンザにかかると重症化しやすい乳幼児や高齢者、持病として慢性呼吸器疾患(喘息・COPDなど)、慢性心疾患、代謝性疾患(糖尿病など)、腎機能障害(慢性腎不全・血液透析など)、免疫機能不全(ステロイド内服など)、妊娠中の方などには、特に、インフルエンザをうつさない配慮が必要です。また、『かくれインフルエンザ』のように、症状が軽くて元気でも、他の方へうつしてしまう可能性がありますので、症状だけで判断しないようにすることが大切です。
このようなことから、人が集まる保育園や学校などでは、感染が拡大しないようにすることがとても重要になります。そのため、保育園や幼稚園、小・中・高・大学の場合、インフルエンザにかかってしまった場合の出席停止期間がそれぞれ規定されています。
☆保育所・幼稚園児の場合
・発症後5日が経過し、かつ、解熱後3日が経過していること。
☆小・中・高・大学生の場合
・発症後5日が経過し、かつ、解熱後2日が経過していること。

上記の原則が設けられているのは、熱が下がったからといっても、まだウィルスが体に残っていて、周りの方へうつしてしまう恐れがあるからです。 また、インフルエンザにかかった10代の方の中には、急に走り出す、部屋から飛び出す、うろうろ歩き出すなどの異常行動を起こす恐れがあります。児童や未成年者が一人にならないような配慮も必要です。

 

1-4.インフルエンザにかからないための予防
うがいや手洗いが基本です。これは風邪の予防も同じです。主な感染ルートが飛沫感染や接触感染であることから、うがいや手洗いが大切なことがわかります。
☆うがい
うがいは喉や口中の粘膜を洗い流す目的で行います。うがいは必ずしも、殺菌消毒作用のあるうがい薬でなく、水でも構いません。帰宅時など、口の中をクチュクチュとして口腔粘膜を洗浄し、ガラガラとのどの奥まできれいに洗い流しましょう。
☆手洗い
手洗いと言っても、水を流しながら2,3度手のひらをこすり合せるだけでは不十分です。石鹸を使って、手のひらや手の甲だけでなく、指の間、爪の隙間、手首までしっかりと洗いましょう。

 

1-5.インフルエンザワクチンについて

インフルエンザの最大の予防方法は、インフルエンザワクチンを接種することです。通常は11月くらいに接種しておき、流行の時期に備えます。ワクチンは言わば、インフルエンザそのもの(毒性を取り除いた)で、体内に入れることで、わざとそのインフルエンザに対する抗体を作らせます。そうして、流行の時期がやってきた時に、インフルエンザが体内に侵入したとしても、抗体がこれをやっつけてくれるというものです。
インフルエンザにかかった時に重症化やすい方は、特に摂取しておいた方が良いでしょう。ワクチンをしていると、仮に感染しても症状が軽く済む場合も多く見られます。 とはいえ、ワクチンはあらゆるインフルエンザに対して万能というわけではありません。A型・B型のインフルエンザでも、その中に様々なタイプがあります。予想して作成されたワクチンとは別の型のインフルエンザが侵入してしまうと、感染してしまいます。なおワクチンは接種後2週目から抗体が上昇し始めて、その効果は約5ヶ月間持続します。

 

2.インフルエンザ治療薬

インフルエンザの治療薬は大きく分けて、ウィルスが増えないようにする薬(原因療法)、熱などの症状を抑える薬(対処療法)に分けられます。対処療法には、薬による治療だけでなく、熱によって失われる水分やミネラルを補充することも大切です。

インフルエンザウィルスは飛沫感染や接触感染によって感染してから、猛スピードで増殖します。その速さは、感染から症状が現れるまで約1~2日です。そして、症状が出てからも、約2日間は増殖を続けます。ウィルスの増殖を抑える『抗インフルエンザ薬』として、現在主に使われているのは以下の4種類【タミフル・リレンザ・イナビル・ラピアクタ】です。抗インフルエンザ薬は、ウィルスが増殖する際に出す「ノイラミニダーゼ」という酵素に作用し、増殖を抑えます。そのため、発症してから4~5日経過してから抗インフルエンザ薬を使用しても、十分な効果が得られません。症状が出たら、一刻も早く受診することがポイントです。また、抗インフルエンザ薬のうち【タミフル・リレンザ・イナビル】は、予防として用いられることがあります。しかし、使用には制約が設けられており、原則として、インフルエンザ感染者の同居家族、共同生活者、インフルエンザにかかると重症化しやすい方に限られます。なお、このような予防的な使用の場合、保険診療の対象にはなりません。

 

2-1.タミフル(成分名:オセルタミビル、飲み薬)
A型、B型の両方のインフルエンザに効果があります。一般的な成人の場合、1日2回(1回1カプセル)の服用を5日間続けます。また、小児用(1~9歳)としてドライシロップ製剤があります。しかし、10代の患者では、薬との因果関係は不明ですが、異常行動との関連性が指摘されているため、服用は原則として禁忌です。妊婦・授乳中の方でも服用は可能です。なお、腎機能が低下した方の場合、薬が体から排泄されにくくなるため、減量などの対応が必要になる場合があります。

 

2-2.リレンザ(成分名:ザナミビル、吸入薬)
A型、B型の両方のインフルエンザに効果があります。1日2回(1回2吸入)の吸入を5日間続けます。薬の成分を吸い込むわけですから、ウィルスが増殖を続ける喉や気管支に直接届いてウィルスの増殖を抑えますので効果が早く、全身への影響も少ないので、副作用の発生も比較的少ないという特徴もあります。妊婦・授乳中の方でも使用は可能です。また、乳製品のアレルギーがある方(製剤中に、乳蛋白を含む乳糖水和物が混在しているため)、喘息のある方(投与後に、気管支攣縮の可能性があるため)は注意が必要な薬です。

 

2-3.イナビル(成分名:ラニナミビル、吸入薬)
A型、B型の両方のインフルエンザに効果があります。タミフルやリレンザと異なり、1回の吸入で、ウィルスに対する治療は終了するため、飲み忘れが起こらないことが最大のメリットです。リレンザと同様に、ウィルスが増殖する喉や気管支に直接届いてウィルスの増殖を抑えますので効果が早く、全身への影響も少ないので、副作用の発生も比較的少ないという特徴もあります。
乳製品のアレルギーがある方(製剤中に、乳蛋白を含む乳糖水和物が混在しているため)、喘息のある方(投与後に、気管支攣縮の可能性があるため)は注意が必要な薬です。

・10歳以下では1容器(20mg)を1回に2吸入で治療は終了です。

・10歳以上では2容器(40mg)を1回に4吸入で治療は終了です。

 

2-4.ラピアクタ点滴薬(成分名:ペラミビル)
A型、B型の両方のインフルエンザに効果があります。1回15分~30分くらいの点滴で、ウィルスに対する治療は終わりです。薬を服用または、吸入することが困難な方には大きなメリットです。なお、ラピアクタは、予防的投与は認められていません。

 

2-5.ゾフルーザ(成分名:バロキサビルマルボキシル、内服)
新たなインフルエンザ治療薬「ゾフルーザ」が本年3月14日に発売されました。上記でご紹介した4種のインフルエンザ治療薬は、細胞内で増殖したウィルスが細胞外に広がるのを抑える作用ですが、「ゾフルーザ」は、ウィルスの増殖を直接抑える、これまでになかったタイプです。
インフルエンザ治療薬の飲み薬で主流の「タミフル」は5日間の服用が必要ですが、「ゾフルーザ」は年齢や体重によって異なる量の錠剤を1回飲むだけで、効果が期待できます。残念ながら、今回の流行には間に合いそうにもありません。

 

2-6.インフルエンザ治療の解熱剤について

インフルエンザの感染に伴う、熱や関節痛、のどの痛みに対する解熱剤については、少し注意点がありますので、以下に示しておきたいと思います。
インフルエンザの治療で用いられる解熱剤は主に、カロナール(成分名:アセトアミノフェン)です。カロナールは、乳幼児にも使える安全な薬で、他の解熱鎮痛剤と比較して副作用が少なく、非常に安全性が高いということで、インフルエンザ治療の解熱剤としても推奨されています。しかし、解熱剤には他にもいろいろな種類があるのに、これらが用いられないのはどうしてでしょうか。これには理由があります。
インフルエンザの合併症に、インフルエンザ脳症があります。インフルエンザ脳症は10歳以下の小児に多く、発熱に伴い、数時間から1日の間に脳に障害をもたらし、けいれんや意味不明の言動、意識障害を引き起こす重篤な疾患で、後遺症や最悪の場合死に至る場合もあります。このインフルエンザ脳症の発症に、解熱剤としてボルタレンを用いたこととの関連性が報告されています。このようなことから、小児には禁忌となっており、成人も同様の注意が必要だと考えられています。ボルタレンの他にも、アスピリン(成分名:アセチルサリチル酸)、PL顆粒に含まれるサリチルアミド(成分名)、ポンタール(成分名:メフェナム酸)なども、インフルエンザ治療としては、原則として投与しない事になっています。

 

3.まとめ

20代~30代の健康な人の場合、インフルエンザに感染しも、自然治癒することもありますが、症状が軽くインフルエンザとは気づかずに周りの人にうつしてしまうことがありますので、流行時期はおかしいなと思ったら、自己判断せずに受診することをお勧めします。インフルエンザにかかると重症化してしまう方は、積極的な治療により、早期に抗インフルエンザ薬を使用して、少しでも早く症状を緩和させて、肺炎などの合併症を起こさないようにすることが大切です。特に人が多く集まるところは、感染のリスクが高まるので、避けておいた方が良いでしょう。
大事な心がけは、感染しないように普段からうがいや手洗いをしっかりとすること、感染してしまったら、人にうつさないように(感染を拡大させないように)すること、このように自分自身や周りの方への気遣いが最も大事だと思います。

初版 2002.11
更新 2018.02

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