第5号 花粉症(2018年度版)
花粉症は、2月中旬~4月末くらいにかけて大量に飛散するスギやヒノキの花粉が原因で起こります。それによって、起こる症状は、くしゃみや鼻水・鼻づまり、目の痒みなど、とても不愉快な症状です。
アルバ調剤薬局グル-プは神戸市内を中心に調剤薬局を展開しておりますが、神戸の街には六甲山系があり、当然この時期になると、花粉症でお悩みの患者は増えてきます。
今回は、花粉が体の中でどのように起こっているのかを見ていきましょう。
免疫のはたらきは、くしゃみや鼻水、鼻づまりとした症状として現れます。つまり、くしゃみによって口からの外敵の侵入を防いだり、鼻水を流して鼻からの侵入を防いだり、あるいは鼻の血管を拡張させて、鼻を塞いでしまおうとします。風邪をひいてもこれらの症状が現れますが、これは風邪の原因ウィルスや細菌に対するごく自然な体の免疫反応です。
しかし、花粉症の場合、花粉を外敵とみなした免疫反応が起こり、しかもそれが極端な症状として現れ、鼻水は滝のように流れ、くしゃみが止めどもなく続き、鼻づまりがひどく…、と大変なことになってしまいます。この極端な症状こそ、花粉に対するアレルギーそのもので、要するに、花粉症は体の免疫反応が異常を起こし、花粉に対して過敏に反応してしまった状態のことなのです。
これをもう少し詳しくいうと、花粉に対する抗体IgEが、目や鼻、気管支に存在する肥満細胞の表面で、花粉(抗原)を待っている状態となっています。このような状態で花粉が飛び込んでくると、IgEと花粉が反応し(抗原抗体反応)、それが引き金となって、肥満細胞からヒスタミンや、ロイコトリエンなどの様々なアレルギー物質が分泌されます。このヒスタミンこそ、鼻水やくしゃみ、目のかゆみなどを引き起こすアレルギー物質であり、また、ロイコトリエンは鼻の血管を広げて鼻づまりを誘発するアレルギー物質です。
ちなみに、血液検査でスギやヒノキのアレルギーを調べることが出来るのは、IgEは肥満細胞に付着しているだけでなく、一部が血液中にも漏れ出してしまっていて、この有無を判定しています。
薬の添付文章では、眠気に対する注意喚起として、『自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際』について記述されており、3段階のランク付け【従事させない、注意、未記載】がなされています(上表の1番右の列)。これらについて解説すると、『従事させない』というのは「運転をしてはいけない」ことを意味します。そして、『注意』は、眠気で運転に支障が出る場合は控えてくださいというようなニュアンスです。眠気の注意事項の表記が未記載である薬は、いろんな人が試してみた結果、眠気が起こりにくい薬であったことを意味しています。このように、眠気に対する3段階のランク付けは、多くの人に飲んでもらった結果、眠気の起こりやすさの頻度を表したものであって、「未記載だから、服用後に運転をしても全く問題はない」という事を言っているわけではありません。つまり、多くの人には眠気が起こりにくい薬であっても、自分には眠気を感じてしまう可能性はあるという事です。居眠り運転で交通事故の原因とならないように、眠気が起こりにくい薬であっても、慎重に見極める必要はあります。
中枢のヒスタミンを抑えることによる副作用で、眠気には至らずとも、集中力の低下や作業効率の低下などが見られるケースもあり、これを『インペアードパフォーマンス』と呼ばれています。花粉症治療薬を選択する際には、仕事の能率や勉強への集中力などへの影響を考慮することも重要なポイントになるでしょう。 抗ヒスタミン薬には、いくつか種類がありますが、効き目の違いは個々の患者による『合う/合わない』によるところが多いようです。ご自分にとって、効果が高く、副作用の少ないもの、また服用時間帯や回数など、自分のライフサイクルにあったものを選ぶようにしましょう。また、最近は市販でも購入できるものが増えてきました(アレジオン、クラリチン、エバステル、アレグラ)ので、薬局で相談して頂くのも良いでしょう。
窓の下は花粉のたまりやすい場所です。丁寧にふき取りましょう。網戸の目にも花粉が付着していることがあります。掃除機で吸い込んだり、濡らした雑巾2枚を両面で挟みながら拭きあげましょう。
※空気清浄機の置き場所
空気清浄機は、リビングの入り口や風通しのよい場所に置かないと意味がありません。また、リビングだけでなく寝室などにも加湿器を置いて湿度を60%位に保ちましょう。
4.まとめ
花粉症は、花粉が飛散する特定の時期に起こるアレルギー症状です。しかし、アレルギー症状の原因となるのはスギやヒノキだけでなく、六甲山には、オオバヤシャブシという植物も生息しており、これが2月~4月頃まで飛散します。さらに、この時期は黄砂やPM2.5が発生することも多く、まさにアレルギーの原因となるものがたくさん飛散する時期です。これらにアレルギーのある方にとっては、非常に憂鬱な時期です。
しかし、花粉は天候によりある程度予測できることから、天気予報などを利用して対策を立てることも重要だと思います。日常の生活においては、アレルギーの原因物質を体に極力入れないようにすること、また、やむを得ず体に入ってきた場合は、アレルギー反応を極力起こさないように、薬を上手に利用することが得策だと思います。薬に関して、「眠気が気になる」、「効き目が不十分」などがございましたら、薬剤師の出番です。なんなりとご相談ください。
更新 2018.02