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第3号 外用薬(塗り薬、目薬、貼り薬、座薬、点鼻薬、吸入薬、点耳薬)の使い方

内服薬は、飲んだ薬が体内を巡り、目的とする部位に到達するように設計された薬です。薬を体の中から届けるので高い効果が期待できますが、本来効かせたい部位と異なる部位で薬が作用してしまう恐れがあり、それが副作用の原因となることがあります。一方、体の外から効かせる薬を『外用薬』といい、内服薬とは異なり、効かせたい部位へ体の外側から直接薬を届けることが出来ます。『体の外側』というと分かりにくいのですが、具体的には、皮膚、目、耳、鼻やお尻から投与する薬のことです。外用薬は、使用する部位により様々な種類があり、それぞれの特徴をしっかりと理解して使用しないと、充分に効果が得られなくなる場合があります。今回は、このような外用薬の中から、塗り薬、目薬、貼り薬、座薬、点鼻薬、吸入薬、点耳薬について、効き目がしっかりと実感できるように、それぞれの特徴や使用上の注意点を中心にみていきましょう。

1.塗り薬について

塗り薬は、皮膚、あるいは皮膚の内側の組織が傷んで、痛みやかゆみが生じたり、赤く腫れたりする場合に、これらを抑える目的で用いられます。塗り薬は、薬の主成分を、軟膏やクリームなどの基剤に混ぜ合わせて、皮膚から薬が浸透しやすいように工夫されています。塗り薬の中には、同じ成分の薬でも、軟膏、クリーム、液剤など様々な種類があります。それらの基剤の特徴から見ていきましょう。

 

軟膏
油の性質が強い。べとつき感がありますので、使用感はよくありませんが、皮膚への刺激は少なめです。皮膚から水分の蒸発を防ぐため、保湿効果も期待できます。
液剤(ローション)
水の性質が強い。サラッとしているので、使用感は良く、夏場の使用が適している。軟膏に比べると、皮膚への刺激感が強めである。
クリーム剤
軟膏と液剤の中間の性質です。

※塗り薬を使用する際は、以下の点に注意しましょう。

・手と患部をきれいにしてからぬりましょう。

・薬剤(チューブ)の口は清潔に扱いましょう。

 

ここで、アトピー性皮膚炎や虫刺されなどで用いられる事の多いステロイド外用剤について、簡単に触れておきたいと思います。ステロイド外用剤は5段階の強さに分類されており、使用する部位や症状の程度によって、これらが使い分けられています。一般的な使用量の目安としては、軟膏やクリームは成人の人差し指の先から第一関節までの量が、ローション剤では1円玉くらいの大きさの量が、大人の手のひら2枚分の面積分の使用に相当します。ステロイド外用剤は、赤みや痒みを引かせる薬で、「虫に刺されないよう塗っておこう」のように予防的に使用する薬ではありません。
※医師の指示により、使用する期間や量について指示のある場合は、それに従って下さい。

 

2.目薬について

目薬は、薬の主成分を液体に混ぜあわせたものを、目へ直接滴下する薬です。目の疾患(ドライアイ、アレルギー、緑内障など)に用います。目薬を点眼する際には、以下に、簡単な手順と注意点を記載しておきます。

 

・清潔な手で目薬を扱いましょう。

・点眼は、あたまを後ろに傾け、下まぶたを軽く下に引いて差します。その際、容器の先がまつ毛やまぶたに触れないように使いましょう。また、眼を閉じようと力が入ってしまう場合は、こぶしで下まぶたを下げるとうまくいく場合があります。

・目薬の一回量は、たいていの場合一滴で十分です。うまく入らなければ、もう1滴追加して下さい。たくさん差したからといって、それだけ効果が得られるわけではありません。

・点眼後はまばたきをしないで約1~2分間、静かに目を閉じて、軽く目頭を押さえましょう。

※目頭を押さえるのは、目薬の成分が鼻涙管(目と鼻の通り道)を通らない為です。薬が鼻涙管を通ると、薬が鼻の血管から吸収され、目薬の成分が飲み薬のように全身に作用する可能性があるからです。

・目からあふれ出た目薬の成分は、ティッシュなどで拭き取りましょう。

・点眼薬の開封後の使用期限は、開封後1ヶ月が目安です(保存剤が入っていない点眼薬の場合は、1ヶ月よりも期間が短くなるケースがあります)。

 

3.貼り薬(主に湿布薬)について

貼り薬は、薬の主成分が布などの表面に貼り付けてあり、それを皮膚に貼って、皮膚からその主成分を直接浸透させていく薬です。ここでは主に、慢性の腰痛や肩の痛み、急性の捻挫や打撲で生じる痛みや腫れを抑える場合に用いる湿布薬についてご紹介いたします。湿布には、テープタイプ(薄いテープ状で、ピタッと貼れる)、パップタイプ(白色で、布のようなゴワッとしたタイプ)があります。また、温感タイプ、冷感タイプのものもあります。以下に、それぞれの特徴を示します。

 

テープタイプ
伸縮性があり、皮膚との密着が強いので、関節部位でもはがれにくいのが特徴ですが、剥がすときに痛いのが欠点でもあります。パップタイプに比べると、持続性は長いですが、刺激性が強いので、かぶれる頻度もやや高くなる傾向があるようです。
 
パップタイプ
表面に水分を多く含んでおり、ヌルヌルした感じで、皮膚への刺激も少ないです(テープタイプの湿布は、水分量が非常に少なく、そのため皮膚への刺激性も高くなります)。皮膚との密着力は弱いので、めくれやすくなってしまいます。また、持続性もテープタイプに比べると、やや短い傾向にあります。

※最近では、テープタイプとパップタイプの両方の特徴を持つ剤形の湿布も発売されました。

冷感タイプ:
患部が熱を持っているような、捻挫や打撲などの場合に、それを冷ます目的でよく用いられます。冷シップには、メントールなどの清涼成分が含まれているために冷たく感じます。パップタイプの多くが、これに該当します。
温感タイプ:
貼付部位の血行を良くする効果が期待できます。温湿布は、入浴前後30分は使用を控えてください。また、温湿布をはったまま、ホットカーペットなどの上で寝るのも控えてください。

※温湿布が暖かいのは、カプサイシンという唐辛子の成分が湿布に含まれるからです。カプサイシンは血流を良くして患部を温めます。そこにさらに入浴のように熱を加えると、温感刺激が強く現れてしまうため、入浴前後の使用などに制限が設けられています。

使用上の注意点を以下に示します。

・どちらも、痒みなどが生じたら早めに剥がして下さい。

・かぶれには、大きく分けて2通りのタイプがあります。一つは、湿布の形通りにかぶれる、いわゆる湿疹です。敏感肌の方は特に注意が必要です。もう一つは、湿布の形よりも広範囲に湿疹が出ている場合です。この場合、湿布の成分自体がお体に合わないケースが多く(アレルギー反応による)、その場合は、その成分の湿布は今後控えるようにしましょう。

・一部の湿布(成分名:ケトプロフェン)は、紫外線と反応すると、ひどくかぶれてしまうことがあります(光線過敏症)。その場合、貼付部位を紫外線から覆って下さい(白めのシャツは紫外線を通過させやすいので、注意が必要です)。湿布を剥がしてからも、4週間は同様に直射日光を患部に当たらないようにして下さい。

 

4.貼り薬(経皮吸収製剤)について

経皮吸収剤は、先の湿布薬と異なり、貼った部位へ直接効かせるのではなく、薬の成分を体に浸透させて、そこから効かせたい部位へ薬を届ける薬です。いわば、飲んで体内に入れる代わりに、貼って体に入れる薬です。薬が飲みこみにくい方や、飲み忘れが多い方には適していると言えます。主に、狭心症薬、気管支拡張薬、高血圧薬の種類の薬があります。薬の持続性は、薬剤によって異なりますので、用法と用量を守ってご使用ください。

使用の際には、以下に注意して下さい。

・胸・背中・上腕などにはって使います。有効な使用部位に使用される場合、どこに使用しても、効果に大差はありません。薬を受け取るときに、使い方をよく聞きましょう。

・しわにならないようにピッタリとはりましょう。

・薬が皮膚に密着するので、効果が長い時間安定した状態で続きます。

・一定の速度で薬の成分が放出されるように設計されている製剤もあります。そのため、このタイプの貼り薬を切ってしまうと有効性が失われてしまうものもあります。切って使用可能かどうかは、薬剤師にお尋ねください。

 

5.坐薬(ざやく)について

座薬は薬の成分が固形になるような基剤を賦形して、お尻に入りやすいように成形した製剤です。賦形剤には、油脂性基剤や水溶性基剤があります。油脂性基剤は体温くらいで溶けるようにできており、水溶性基剤は粘液で溶けるような材質で出来ており、肛門や膣に入れて使います。痔の薬のように局所に作用する坐薬と、解熱鎮痛剤のように全身に作用する坐薬があります。

 

どちらの場合にも、以下の点に注意して、ご使用ください。

・包装から取り出してとがった方から入れます。

・使用前は、冷たければ人肌に暖めてから(少しの間手に持っていればいい)、できれば排便後に坐薬を入れましょう。

・坐薬を入れてから30分位は静かにしていましょう。

・座薬を2種類入れる場合は、30分以上あけてから使用する。油脂性基剤と水溶性基剤を併用する場合は、水溶性基剤を先に使用しそれから油脂性基剤を使用します。例えば、けいれん止めのダイアップ坐剤(水溶性基剤)と、解熱剤のアンヒバ坐剤(油脂性基剤)を併用する場合、先にダイアップを使用し、30分以上あけてください。

・ほとんどの坐薬は体温で溶けるように作られているので冷蔵庫で保管しましょう。

 

6.点鼻薬

点鼻薬には、薬の成分を鼻に霧状にして噴霧させるタイプと、直接鼻にポタポタと液体を垂らしていく点鼻タイプとがあります。点鼻薬には、鼻水や鼻づまりなどの鼻症状を抑える薬が数多くあります。しかし、中には薬の成分を鼻の血管から浸透させて作用する薬があり、片頭痛薬、夜尿症(おねしょ)として用いられているものもあります。

 

噴霧タイプ

・手をきれいに洗いましょう

・使用する前に、しっかりと鼻をかむ。

※鼻水がたくさんあると、薬液が鼻の粘膜まで十分に到達しないことがあるからです。

・頭を少しうつむき加減にして噴霧する。そうすると、鼻の奥まで薬が到達しやすい。

※噴霧前に空噴射を行うもの、またしばらく使用していなかった点鼻薬を使う際に空噴射が必要な点鼻薬があります。詳細については、薬剤師にお尋ね下さい。

・点鼻が終ったあと、垂れてくる薬液はティッシュ等で拭き取って構いませんが、すぐに鼻はかまないようにして下さい。

・点鼻薬の先端をティッシュなどできれいにふく

 

点鼻タイプ

・手をきれいに洗いましょう

・使用する前に、しっかりと鼻をかむ。

・鼻の穴が天井に向くようにします。

・容器の先が鼻などに触れないように、点鼻液を鼻の中へ滴下します。

・その後、薬液がしっかりと行き渡るように、2-3分間そのままの状態でいます。

 

7.吸入薬

薬の成分を吸い込んで、肺へ直接到達させます。気管支の炎症を抑える薬や気管支を広げる薬、あるいはこれらの配合剤があります。薬を直接肺へ送ることが出来るので、肺以外に作用することがほとんどないのが大きなメリットです。吸入薬には、たくさんの種類があります。それぞれの吸入の使用手技については割愛をさせて頂き、今回は主に吸入前と吸入時、吸入後の注意点、吸入時のコツをご紹介しようと思います。

 

・吸入する前には、容器を良く振りましょう。また、吸入口に異物が無いか確かめましょう

・普通に息を吐き出します

・その後吸入から薬をゆっくりと吸い込みます。(約5-6秒かけて)

・吸入剤を吸い込んだら、息を止めてゆっくり10数えます。(無理のない範囲で)

・息を止めた後は、ゆっくりと鼻から息を吐き出します。

・吸入剤の使用後は、うがいをしましょう。口の中に残った薬の成分を洗い流すためです。

※特にステロイド吸入剤の場合、薬液が残っていると副作用(カンジダ、のどの痛みが軽減できます)

 

8.点耳薬

薬の成分を耳へ滴下します。耳は外側から、外耳、中耳、内耳という構造になっています。点鼻薬には、抗菌薬や炎症を抑える薬があります。効かせたい部位へ滴下する場合、部位や症状により滴数が異なる場合がありますので、使い方は医師や薬剤師からしっかりとご確認ください(写真は、点眼・点耳・点鼻のいずれにも使用するタイプの薬です)。点耳の際は、以下の点にご注意ください。

 

・使用前にしっかりと手を洗いましょう。

・耳掃除をしておきましょう。耳垢があると、薬の成分が患部までうまく到達しないことがあるからです。

・薬の容器を人肌ぐらいに温めるとよいでしょう。

※冷たい薬液を使用すると、めまいが生じる恐れがあります。

・耳に薬を滴下するとき、薬液がこぼれ落ちないように、耳を上向きにして滴下する。その際、耳たぶを頭の後ろへ引っ張ると、耳の中へ入れやすくなる。滴下する際、一度に薬液をたらすとめまいを起こしやすくなるので、少しずつ落としていく。

※1回に垂らす量は症状によって異なります。医師にご確認ください。

・使用後は耳浴が必要です。10分程度そのままの状態で、薬がしっかりと浸透するようにしましょう

・耳浴が終了し、起き上がった時に薬液がこぼれた場合、ティッシュ等でふき取って下さい。

・点耳薬の使用期限は、開封後1ヶ月が目安です。(要時溶解製剤は、調整後2週間)

 

初刊 2001.11
更新 2017.11

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